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まさ子はやさしい思いやりのある子供だったから、お友だちも多くときには友だちの喧嘩の仲裁に入ったりもする、勇敢なところもあったようです。
まさ子は運動が好きでした。オリンピックの年、パラリンピックに県代表で出場しました。
会場は岐阜でした。山形出発のときには、県会議員も出席して盛大な壮行式を挙げてもらいました。
頑張った甲斐があって、銀メダル二個を胸にさげて帰って来たときは大した歓迎でした。やはり競技は勝たねばなりません。本人はもとよりですが、周囲の方々の感激の方がすごかったようです。
学校は無事卒業しましたが、次は結婚問題です。先生を始め周囲の人々から、「家にいつまでもいて心配かけるより、適当な人がいたら結婚した方がどれほど幸せかしれない」とすすめられて、その気になったようでした。お互い人格というものがあり、また好き嫌いもありなかなか難しいものでした。
幸い横山先生の仲人で熊沢英也君と結婚しました。農家の息子ですが二親とも亡くなりました。英也君は鹿野代議士の経営する工場で働くことになりました。
親兄弟、親類のいる町なら皆さんからの応援もうけられるが、遠い埼玉県ではどっちを向いても知らない人ばかりです。世帯道具も揃っていませんでした。茶わん、箸のはてから電気店を廻って炊飯器、掃除機、洗濯機など買い集めて、ようやく一軒の家ができ上がったようなものです。

 

 

 

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